「おばけのてんぷら」

せなけいこの作品はどれもとってもオフビート。
リズム感が独特で、話の終わり方も投げっぱなしのものが多い。

その中でこの作品は、ちょっぴりドジなメガネうさぎのうさこを主人公にしたおはなし。
お小遣いを全部はたいて天ぷらの材料を買うという、うさこのキップの良さにびっくりだし、
揚げてるはしから、おばけに食べられているのに気が付かないのもすごい。
終いには、衣に落ちたおばけを揚げる所でピチピチはねているのを「生きのいい天ぷら」という
一言で片付けるのもすごい、うさこは材料に野菜しかかっていないから。

一応うさこが大事なメガネをころもに落としてしまったから、ということなのだろうが、
それにしても強引である。故に面白い。
じつは、うさこは毎回メガネを紛失したりする、メガネネタの持ち主なのである。
この作品では最終的に天ぷらとして揚げてしまう。
高温で揚げられた天ぷらをがりっと齧ってきがつくのだが、子どもに読んでいていつも
最後にこのメガネのフレームが溶けていないかが心配になる。

もう一人の主人公のおばけも同様に結構ドジで愛嬌のあるキャラクターである。

読む時は、天ぷらのおいしそうな感じとうさこのワクワク感を感じながら
読んでいるととても楽しい。また、おばけの心情もよく理解できて興味深いです。

この作品は比較的オチがしっかりしているので、読後の(?)があまりでない作品でもあります。