年に一度。

前の更新が2015年の3月11日。
つまり1年前。

実はこのブログ。サーバを借りて書いていた頃も入れると10年以上も前から書いていた。
ひっさしぶりに読み返してみると、ほんとにタイトル通りの日々のどうしようもないことをグズグズと書き連ねている。
自分がどうやって、いまの状況にいるのかがすごくよく分かる。

10年前の自分が今の自分を見たら、どう思うだろう。
馬鹿だなあって思うかもしれない。生活どうするんだとか。

でも、この10年で確実に言えることは、すごく幸せで豊かに暮らしてこれていて。
しかも、年々、自らの暮らしの豊かさやこれからの暮らしをどう豊かにするかのイメージが見えてきている。ってこと。
日々を大切に生きること。自然の中で感覚を開くこと。人との出会いを楽しむこと。
単調な暮らしの中でも一日一日の違いを感じる感性を育むこと。

とてもささやかだけれど、役に立つことを
1つずつ知って行けているような気がする。

だからこそ、これまでできなかった自分自身を少しずつイメージし、具体的に動いていくことに
つながっているのだと思う。

自分がなにを求めて、何を伝えていきたいか。

若いころはずっと、自分の存在意義をかんがえてた。要は自意識過剰なんだけど。
役者をやりたいと思ったのも、自分が伝えていきたいことはないけれど、自分の存在だけは知らしめたいという思いがあったから。
生きていた証を残したいと。

実は今もそういうのはちょっとある。いや、まぁまぁあると言ってもいいかも。
でも、違うのは自分で伝えたいメッセージがある。

東京から奈良へ来た時、何かをやらなくちゃいけないと思った。
なんとなく、場づくりってキーワードでそれっぽくしてたら何かできるんじゃとも思った。

でも、よくよく考えたら、自分が奈良へ家族で移り住んだ一番大きな理由は
「より豊かに暮らせそうだ」と思ったからだ。

奈良は、東京にあるものは、はっきり言って何もない。でも、東京にないものもいっぱいある。
僕にとってはそれが「豊かさ」につながっている。

お金があったら幸せ。確かに欲しいものが手に入る。それはそれで幸せ。僕もお金がもらえるんだったらほしい。というか必要。
でも、奈良へ来て、お金じゃ買えない素晴らしい物に沢山気がついた。

その象徴が、僕にとっては春日山原始林だと思っている。
奈良の象徴的な山に関わると決めたから、今、いろいろな人のつながりが生まれてきている。
春日山原始林を豊かな森にしていくために、自分自身も豊かにしていきたい。

ところで、春日山原始林は、御蓋山の奥にあることから「奥山」ともいわれていた。
変な偶然だけど、ハタチの頃になくなった親友とおんなじ苗字。
なんなんだろう。ちょいちょい僕の人生の転換期に彼の存在を感じる。

とりあえず、また奈良の奥山に会いに行こう。

4年と1年

あの地震から4年。
奈良へ来て1年。

早いような、そうでもないような。

関西へ来てみると、やはり「震災=阪神淡路」という印象が強いためか、
2時46分も何となく過ぎていった。

4年前、なんとか歩いて自宅までたどり着き、その日の夜のニュースで、関西への避難を決め、1週間ほど奈良で過ごした。結局仕事の事など諸々あったので東京へ戻った時には、計画停電が実施されていて、目に見えない不安を抱え暮らした。外で遊ぶことも自分の判断も正しいのか、情報を整理し、なんとか判断していくということを迫られた時期だった。

その後、少しずつその不安も日常生活の「慣れ」から払拭されつつあったけど、どこかで拭いきれないものがあって、なんとなくスッキリしない暮らしが続いた。仕事は、やり甲斐があったし友人も多くいた。子供達も仲良しの友達がいて、自分の子供も含めその成長を見守ることはとても楽しかった。それでも、そこで暮らす以外のことを真剣に考えるようになった。それまでのぼんやりとした「夢想」ではなく。

結果、奈良へ来てみた。情けないことに「とりあえず来てみた」という感じにしかならなかったけど。そして、1年が経った。

1年の間、のらりくらりとやり過ごして、自分のやりたいことをとりあえずしばらくは仕事にすることができた。でも、まだこれから。

期限のある中で、自分の想いをかけて物事を進めていく。これまでの「流れに乗る」生き方から「流れを作る」生き方に変えて。
臆病な性格なので失敗が怖い。でも、それで全てが終わるという訳ではない。自分を少しだけ鼓舞して、楽しいことをやろうと思う。

この1年で思うのは、「僕はラッキーだ」ということ。
そうそうないタイミングでここで暮らし、この1年で多くの方と出会うことができ、
新しい発見をし、そして、なんとか家族と幸せに過ごせている。


原始林のこと シカの問題。それと個人的な想い。

・シカ問題
奈良と言えばシカ。だれもが抱くイメージだと思います。このシカのおかげで多くの観光客の方々が奈良を訪れてくれていると思うのですが、その反面非常に大きな問題も抱えています。いくつかありますが、ここでは原始林に関係することだけ書きます。
この前に書いた、移入種の問題には実はシカの影響が関係していると言われています。
実は、鹿も好き嫌いがあってこの「ナギ」と「ナンキンハゼ」は、鹿の食べない植物なんです。それによって、これらの種が生き残り、繁殖しているという状況を生んでいます。また、奈良のシカは個体数が非常に過密な状況なため(現在奈良公園のシカは約1100頭生息してるそうです)、鹿が食べない植物以外はほとんどを食べてしまうため、本来の植生が変化して来ているという指摘があります。

じゃあなんでこれが問題なのか。ということなんだけど、ある意味ナラ枯れの問題は、防御しようにもなかなか難しい問題のような気がしているけど、移入種の問題やシカの問題は、原因の発端が人間と深く関わりがあると感じています。
特に、ナギなんて随分昔に植えたものが広がっちゃっている現実を考えると、なぜ適正な管理ができなかったのかが今思えば疑問だし、ナンキンハゼについては、ハブを退治するためにマングースを入れちゃったのとほぼ同じ過ちだと思うんです。シカについては、そもそもオオカミがいればとかもあるけど、神鹿や天然記念物という保護のあり方について何が適正なのかを考える基準がなかったことや観光的な視点でアンタッチャブルにしてきたことが大きいのではないかとおもうんです。
つまり、人災。

明らかに人間が失敗しちゃったことで、そこに生きていた方々に多大な迷惑をかけたのであればそれをできるだけ修復しようと勤めることも人間の責任だと思う訳です。

それとこれはとても個人的な想いだけど、自分がこれから奈良公園や原始林を案内するようになった時、「以前は○○も見ることができたんですが、最近は…。」というよりも「また○○が戻って来て見れるようになりました。」という方が嬉しい。単純に。
結局は自分が利用したい場所を自分の利用したい状況にしたいというエゴなのかもしれないけど、でも自分としてはその方が素敵だと思うんです。

どの位自分ができるのかはわからないけど、少しでも貢献できたらいいなと思っています。

鹿さん。可愛いのは確か。

個人的にはこっちの方が好み。ルリセンチコガネ。

原始林のこと 移入種ナギとナンキンハゼ

・移入種の問題
原始林は、基本的にシイ・カシの占有する森であると書いたけど、現在非常に大きく問題になっていることで移入種の問題があります。
一つは「ナギ」という樹。これは、実は800年前に春日大社熊野神社よりご神木として植栽したといわれるものが、ゆっくりとその範囲を広げているのではないか。ということ。現に春日大社にはこのナギの純林が形成されていてこれは全国的にまれということで天然記念物にまでなっています。
この樹は成長がゆっくりで且つ、成長すると回りに別の種類の樹が生えないようにするアレロパシーという作用があるということで、一度いいポジションをとったらなかなか譲ってくれないと言った感じです。

もう一つは「ナンキンハゼ]」。たまに公園等に生えているこの樹は、もともと台風の影響で多くの倒木があった際に、県が街路樹として植栽したそうなのです。理由としては、紅葉がきれいでさらに大きく育つため。この樹は実を野鳥が食べて広い範囲で拡散するといわれ、もともと公園内でも原始林の方まで広がっています。若草山などは頂上付近に多くのナンキンハゼが生えており、その繁殖の力がよくわかります。

しかし、そんなこと言ったらこの二つの樹種はどこ行っても多くなるはずじゃないか。と考えると思います。
実は、この二つの樹種が増えてしまっている大きな原因の一つに、奈良のシンボルが関係しています。


ナギ。こう見えて針葉樹。葉っぱをよく見ると縦に筋が入っていて笹の葉のように縦に裂ける。



ナンキンハゼ wikiより。奈良公園のナンキンハゼ
続きはまた明日。

原始林のこと ナラ枯れについて

春日山原始林が抱えてる問題その1です。

ナラ枯れの問題


全国的に問題になっている「なら枯れ」が原始林にも起りつつあるのではないか。ということです。「ナラ枯れ」は「カシノナガキクイムシ」という寄生虫がナラ類(例えば雑木林によくあるクヌギ、コナラ)に入ると虫が持っている菌(ナラ菌)が樹の中に繁殖し、結果枯れてしまうというもの。
原始林には、ナラ類はないが、シイ・カシ類にも入るためその影響が心配されています。先日、原始林をぐるっと歩きましたが、既に虫がはいっている樹がいくつも見られました。シイ・カシ類にどの程度影響があるかはこれまでの事例がないため不明とのことですがもし影響があれば被害は相当なものになります。既にいくつかの大木には影響を最小限に抑えるための取組みがなされていますが、追いついていないのが現状です。
ちなみに若草山山頂のコナラは既に枯れているものが多く見られています。

もし、この春日山のシイ・カシ類がやられると照葉樹の森じゃなくなっちゃうので、それだけでもう大変な損失です。

原因としては、そもそも里山の材を利用しなくなったために、ムシが繁殖しやすい環境が整ってしまったということ。カシナガ自体は細い木にははいらず一定以上の樹にはいるそうで、昔はそう大きくなる前に切ってしまっていたために被害が広がることもなかったようです。

ただ、原始林に関しては巨樹・巨木が非常に沢山あるため心配です。

ナラ枯れについて/奈良県公式ホームページ

これからのこと、春日山原始林のこと


奈良へ来て、はや3ヶ月が経とうとしています。
なかなか思うように行かず、のんびりしながらも心は落ち着かない状態がつづいていますが、少しずつ動きだしをしている状況です。

移住前に受けた「好きなまちで仕事を創るin奈良」では、起業プランをつくらねばならず、それまで漠然と「場づくり」をしたいと考えていた自分から、もう少し具体的な「場」としての「奈良の自然ガイド」を考えるようになりました。
そんなことを思っていたら、前の職場の事業のつながりで奈良のNPO法人奈良ストップ温暖化の会(NASO)を紹介してもらいました。
好きまち奈良のヒアリングの際にNASOの方に「奈良の自然、特に奈良駅周辺の春日山原始林をフィールドにガイドなどをやって見たい」という話をした所、今、そのNPOで県と協力して春日山原始林の問題に取り組む組織を立ち上げる所だということを聞き、ぜひ関わらせて欲しいということになりました。

という訳で、今、NASOをお手伝いしながら新しい組織の立ち上げに今後関わることになりそうです。
ただし、これら全てほぼ収入にはならず(汗)。。。個人的な課題は解決できていません。

まあそれはさておき、春日山原始林に関わることになりました。

春日山原始林というのは、奈良の春日大社の裏手にある森林地域で、国の天然記念物に指定されている他、古都奈良の文化財の一部として世界文化遺産にも指定されています。
もともと春日大社の神山として狩猟や伐採等が禁じられた地域ですが、過去には豊臣秀吉が植栽したり、台風被害により手を入れたりしている森です。とは言うもののこれまでほとんど手を入れずにいたためにシイやカシなどが多くある照葉樹林の森として貴重な存在であることは確かです。

個人的には、歩きやすいし気持ちがいいし、巨樹も数多くあるのでガイドと歩くと非常に面白い場所だと思っています。
奈良は歴史・文化だけじゃない。まちの近くに原始的な森がかろうじて残っているということを多くの人に知ってもらい、実際にガイドとともに歩いてもらうことでより深い体験が提供できるんじゃないかと思っています。

ただ、原始林は今、(というかずいぶん前から)大きな問題を抱えているということです。
長くなるのでまた次回この問題について書いてみたいと思います。

ひさびさの東京

先週の木曜日から、今日まで東京に。
と言っても奥多摩
奥多摩の山のふるさと村というところでやっていた、インタープリター養成の研修を受けていました。

インタープリターって何?というかんじだろうけど、簡単に言うと主に自然の魅力を体験を通して伝えるヒト。のこと。

元々前の仕事に関係する事だったので知ってはいたものの実際にこう言った研修は初めて。
これから奈良でやってみようかなと思って受けてみたのでした。

これまで何と無くやっていたことが、かなり整理されて、ポイントなども自分なりに掴めて凄くためになった。また、予想外に同世代もいたために、新しい出会いもできた。

奈良での自分のやることを色々考えていたけれど実際にじぶんでプログラムを作ったり、実際にやったりして、自分がこういうこと好きなんだなって改めて実感した。

芝居を辞めてから 、デスクワークの仕事になりそれをそれなりに楽しんで来たけれど、結局自分は、ひとを目の前にしてその人を楽しませたり、心を動かしたりすることがやりたかったんだって素直に今思える。

10年まわり道して、結局そんな自分と向き合うことができてよかったなぁと思う。