ブータン日記 ティンプー3日目

■2012/08/21


今朝は、ティンプーからポブジカへの移動日。
火曜日はペデストリアンデー。朝8時以降、ティンプー市内はタクシーをのぞく車が入れない。そのため7時45分にダワさんに迎えに来てもらって移動開始。

ブータンにトンネルはない。山は神聖視されているそうで、ずーっと尾根沿いに道を造っている。ティンプーからドチュラ峠までは取りあえずずっと山を登って行く。ドチュラまでの道のりは途中工事中なのかひどくぬかるんだところもあったけど、基本舗装されているので比較的安心だった。ダワさんは、途中チョルテンがあったりするとお経を唱えたりするけど基本安全運転だし。


道ばたで野菜やリンゴや干したチーズ等を売っていた。リンゴはこの時期だけ。小振りで酸味があってウマかった。


ただ、天候は徐々に霧が深くなり、ドチュラのチョルテンが沢山ある所についた時は、雨が降り出していた。ところがここでセミを発見。地面にいたセミは緑色、羽根のあたりはターコイズブルーをしていて綺麗でした。そして身体が丸い。メスだったので鳴き声は分からなかった。もちろん、捕獲することなく逃がしてやった。


晴れてたらすんごい綺麗だそうな。霧で何も見えない。


セミ。綺麗だった。写真では上手く色が出てないけど羽根の付近がホントきれい。

そしてここから、少し車で上がった所にある「ランペリ王立植物園」を視察。と言いながら、雨のため見たのはビジターセンターのみ。でも春にはブータンシャクナゲが咲いていたりととても綺麗な所っぽい。何だか宮崎駿のアニメに出て来そうな東屋もあるし。
ビジターセンターでは展示を視察。思っていたよりしっかりと作られていたけど、場所に関係ない環境についての展示があったりとチグハグな印象。どうやら、ここに中高生が来て環境学習をするために作られたらしい。ティンプーや近郊の学校からも近いことが理由だそうだ。


ランペリ植物園入り口。動物たちがお出迎え。あたりにはトラもいるそうです。


すごいあずまや。


建物しっかりしてました。


展示物そのものは結構しっかりしてた。ブータンでは最高峰。


屋根についてるお守り。…高くそそり立ってます。そして赤い。



視察のあと、今回ポブジカまで同行するジグミたちとお茶を飲む。ジグミはガールフレンド(?)同伴。仕事なのに。そのあたりは、まあ適当みたい。いいなあ。

その後、上司には「杉山さん本領発揮だね(私は雨男とのレッテルが貼られている)」と言われ、嫌だなあと思っていたが、ドチュラを越えてプナカへ入りウォンディへと行くと天気は徐々に回復。ドチュラで3000m近くあったのが、ウォンディでは1000mちょいまで下がるので一気に気温が上がってくる。
ところでティンプーからドチュラまでは森は針葉樹。ヒマラヤゴヨウマツという松が中心なのが、ドチュラを越えるとブルーパイン(アオマツ?)に変わる、そして針葉樹林帯から混合林へ変化し、その後は広葉樹林帯に。8月なのでみどりがとても深く、美しい。


写真が下手なだけでホントはすごい綺麗。

これ見てるだけで来て良かったと思う。所々寺院があったり、綺麗な棚田が見えたり。
セミの声が聞こえたり、アゲハを見かけたり、トンボが飛んでいたりと何だかステキ。
そして、なぜか山の中でも牛がうろうろ。近くの家(どこにあるのか分からない)の牛らしいが、自由過ぎ。
途中、ダワさんが道で売っているトウモロコシを買ってくれた。焼きトウモロコシ。少し乾燥してから焼いてるのが若干硬かったがまあ食べられる代物だ。


こんな感じで売ってました。


トウモロコシ。

途中、すれ違う車は、タクシー(インドで生産されるマルチスズキの軽自動車)とインド製のTATAの大型トラック。このトラックがくせ者で明らかにすれ違えなさそうな所をつっこんで行くため、対向車の同じようなサイズのトラックと若干もめたりしてた。少しは譲り合えば良いのに。


スレ違う車。もめててダワさんが仲介に入ってた。

ウォンディポダンの街は、数年前に大移動をしたらしい。山沿いにあったのが不便だったのか、取って付けたかのように少し離れた平地の一画が整備され街が作られていた。また、今年の6月に古くからあったゾン(役場とお寺が一緒になったような施設)が火事に合い焼けてしまい、役所の機能も街へ移動したそう。
到着前、川を渡る前にゾンがよく見える場所で撮影。ここにあったらホントに綺麗だったろうに、見るも無惨に焼けていた。話によると寄付を募り再建をするらしい。(日本のお城と一緒だね。)


焼けてしまったゾン。見るも無惨。


牛。


TATAのトラック。目が書いてあっておもしろい。インドから来てると思われる。


仕事のプロジェクトサイトであるポブジカはウォンディポダン県に俗するので、一応ここのお役人さんにご挨拶がてらうかがうことになっていた。しかし、ここでもペデストリアンデーのため市内は車が入れない。市の入り口から少し歩いてからタクシーをひろい街の中にある役所へ。
タクシーは前述のマルチスズキのバン。軽自動車のバンだ。この車で山道をグネグネ行くのは正直遠慮したいなと思った。

さて、役所で用事を済ませたら、ジグミが銀行へ行きたいという。そこで銀行まで歩いて移動。途中、トイレに行きたかったので話すと、レストランでトイレを貸してくれた。ほとんどがホテルでするか、立ちションで済ませていたので現地で本来どんなトイレかが気になっていたが、まあ、和式みたいな感じだった。なにより暗くて隣に水の張ってあるドラム缶に柄杓が入っていた。こういうとき男性で良かったと思う。


トイレかりた店。客は昼からビール飲んでた。

便器はこんな感じ。暗い。

さて、ウォンディを越えて更にポブジカまではまた登り。今度は3000m以上の所まで登る。天気がまた悪くなってきた。植生がまた変化し、更に道がひどくなる。ドロドロ。更に何故か通り沿いに石を切り出す工事をしている。なんで国道沿いで石切するんだって思うけど、他に道作るより効率がいいんだろうな。
ひどいドロドロの道(ダワさん曰く「GNHロード」)をゆっくりゆっくり進む。ウォンディに到着が大分遅れてしまっていて、昼飯のタイミングもどうしようという感じでいたら、あれ、車が沢山止まってると思ったら、工事のため通行止め。


通行止め。


こんな感じで待ってます。

これも良くあることらしいんだけど、ここで更に30分くらい足止めを食らう。仕方がないので車から降りて写真撮ったりウロウロしたりして時間つぶし。まあ、全てが良い経験だと思うと何の苦もない。

やっと通れるようになったところで、暫く進んでから昼食。ホントのローカルの食堂で昼食を頂いた。ここは完全に地元食。沢山の米に、干し肉と大根と唐辛子がチーズで煮込んであるものと唐辛子と大根をチーズで煮たもの(エマダチ?)を食べる。
なんだ、意外と美味しいじゃん。というのが正直な感想。干し肉は煮込んであるはずなのに硬くて噛み切れない感じだったけど全然やじゃない。上司はあまり得意ではないらしく、少しだけしか食べていなかった。私は初めてということもあり、積極的に唐辛子をパクついた。がしかし、その後唇がいたい。文字通り、痛かった。
ジグミとその彼女に聞くと、これでも辛さ押さえてあるらしい。どういうことだ。


お店の中。お面がかかってた。ちなみにホントはもっと暗い。

そんな感じで腹ごしらえした後、やっとのことでポブジカへ入る。
何とポブジカへ入った所で再び日が射した。ポブジカへ入る所にあるチョルテンの所からの眺めは正に「秘境への入り口」と言った感じ。薄紫色と黄色のキク科の花が咲き乱れて非常に美しい光景だ。


ホント綺麗だったんだって。写真が下手なだけで。

そして今回の目的地、ポブジカのオグロヅル観察センターへ。この施設の視察が今回の仕事の一番の目的。ざざっと見て、写真を撮って終了。ここからはポブジカの湿地がよく見える(ちょっと遠いけど)。ジグミはこの施設に泊まるそうだ。彼とは英語で話さなければならないのだけど、やっぱり自分の英語がイマイチなのでなかなか意思疎通が出来ず、正直残念だった。総じて口数が少ない人になってしまった。


センター。奥の風景が開けててすごく綺麗。

そしてホテルに戻って夕食。
食事は、辛くないローカルフードみたいな感じだろうか。そこそこ美味しく頂いた。

ホテルは、作りも伝統的でなかなか素敵。電気も暗いが別に支障はないし、何せとても静が。シャワーもしっかりお湯がでるので個人的には全く問題がない。明日は朝から少し散歩でもできればと思う。

ポブジカはとても美しい。明日は、地元の人々との会合に同席した後、湿地を歩くトレッキング。楽しみだ。