みどりの森。

遠くから見ると、こんもりもこもこ。

緑の固まり。

近づいてみれば、赤松、檜の針葉樹あいだに
山桜、楓、桐、朴などの広葉樹。
絡み付く藤、葛。

名前の知らない白い花、不思議な形の紫色の花。

手鎌を持って、薮の中を進む。

山椒の実からは、さわやかな香り。
見知らぬ葉からは、柑橘類の匂い。

注意深く歩いてみれば、そこかしこに
昆虫たち、七色の甲虫、カメムシ、ゾウムシ、
アリ、オトシブミ、アワムシ。

耳を澄ませば鳥の声、ミソサザイ、ガビチョウ。

足下には、イノシシ、シカなどの糞や足跡。

檜の林は光が遮られ、岩にはコケ。
朽ちた樹の中には、カミキリムシの蛹。

見つけた赤い実はグミの実。
おそるおそる口に運べば、ほんのりと甘い
森の恵み。

山梨のとある森にて。