地面

飛ぶように過ぎて行く毎日。
僕は僕の人生を
どのようにすごしていくのだろうか。

「考えている」
その間にも時は刻々と流れ、
その流れの速さに途方にくれる。

社会の状況、世界の情勢、地球の環境
情報は毎日目の前を通り過ぎ、
それを咀嚼しきれないうちに次がやってくる。

口を開けられ無理矢理えさを詰め込まれる
フォアグラのためのガチョウのように

ただ口を開け、情報を飲み込み、
腹の周りにたっぷりと贅肉を付けて
メタボリックで空っぽの人間が出来上がる。

論破されないための理論武装
隙を見せないための情報収集。

その核にあるのはドーナツの穴のように
ぽっかりとただただ穴があるだけ。

その真ん中で宙ぶらりんの僕。

それでも日々成長して行くこの小さなひとは
実感のない毎日の中での確かな耀き。

小さな耀きは、ドーナツの真ん中にいる僕の
足下を照らしてくれる。

そこには確かに地面がある。
足の裏に地面を感じる。

産まれ、日々成長する息子と
限りない母性を感じさせる妻に感謝。