みぞれ

飲んでかえって
駅をおりたら

みぞれが降って来た。

コートの襟を立てて
ヘッドホンをして

ミュージックプレイヤーの
音量は最大

大音量でメランコリックな曲を聴き
千鳥足で家路を歩き

意味の分からない英語の歌詞に浸って
ふらりふらり
踊りながら歩く

空は濃いグレーの雲がかかり
水分の多い
雪のようなみぞれが舞う

大音量の
甲高い声に、
脳みそを刺激されて

ふらり ふらり
ふらり ふらり
ふらり ふらり

ふらり ふらあり

そらからは

落ちてくる

あまつぶ みぞれ

それをぼくは大きな口を開けて

酒臭い舌で

受け止める

身体はアルコールで火照っていて

寒さは全く感じない

ただ、空から落ちてくる
水の固まりを

ただ

口を開け

舌で受け止める

何も考えず
馬鹿みたいに
ただ
口を開け、立ちすくんで

受け止める