上向いて歩いて

気がつくと、上ばっかり見てる。

半分口を開け、ぼんやりと

空や雲や
鳥や飛行機や
ビルや看板を

ぼんやりと見てる

いつもは気がつかない、
ビルの看板を見つけると
なんだか得した気分。

いつもは見つけられない
雲や空の色に気がついた時は
ちょっとはしゃぎだす。

すし詰めの通勤電車
地下鉄からはい出してきて、
階段を上り、空を見上げたとき
目に飛び込むのは
新緑のケヤキ、ビルの隙間からの青い空。
その後まっすぐ見たときに見えるのは
餌を漁るカラス、パチスロに並ぶ人々
居酒屋のチラシを配る作り笑顔の女の子。

角度を少し変えるだけで見える世界が違うから、
朝のはじまりの時間には、
信号待ちの交差点で
やっぱり口を半開きにして、
空を眺めてしまう。