チョーさん

僕が銀座のふぐやで働いている頃
洗い場にいたミャンマー人のチョーさん。

片言の日本語で、良く仕事中に話をした。

たいがいは、下品な話ばかりだったし、他のバイトの人は
チョーさんとあまりまともに話そうとはしなかったけれど、
僕は、ミャンマーという国について何も知らなかったから
チョーさんにいろいろ話を聞いた。

聞くと、チョーさんはミャンマーの軍事政権に反抗して
亡命した「ビルマ人」だった。
彼は働いている給料の内のいくらかをタイとの国境で
戦っている人たちのための支援に送っているという。

その時、ビルマ語で書かれた日本語の辞書を引きながら
一生懸命僕とコミュニケーションをとろうとしていた
チョーさんに凄く感銘を受けたのを覚えている。

あれから5年あまり経って、相変わらずビルマミャンマーのまま。
僧侶達が立ち上がるも、結局は武力によって抑え込まれた。

今年の5月に国民投票民主化へ動き出すと軍事政権は声明を出したものの
スーチーさんは軟禁されたままだしどうなるのかは正直見えない。

とまあ、なんで急にこんな事を書いたかというと、
先日妻と通販生活のサイトで素晴らしい掃除機やら圧力鍋やらを
調べようと思っていたらバナーに>「ビルマの軍事政権に抗議するTシャツ」
を発見して、それでチョーさんの事を思い出したから。

チョーさんという一人のビルマ人の友達(今はもうどうしているか分からないが)
がいたことによって、ビルマの事が身近に感じられるようなった。

チョーさん元気だろうか?日本語は上手くなっただろうか?
金を貯めて、民主化したら日本の中古車を買ってビルマで売ると言ってた。
タイにいる時につきあってた女がギャングの娘で身体に入れ墨を入れるはめになったり、
若いころはムエタイの選手をやっていたりと波瀾万丈の人生で
国に帰れば、すぐに捕まってしまうし、家族も捕まってしまったと言っていた。
さらに同じ職場にいたミャンマー人が本国からのスパイだと言って警戒していた
チョーさん。
「スギヤマサン、イイネ!」と言って僕の事を気に入ってくれていたチョーさん。
どうしているのだろう。もう一度あって、連絡先を交換して
ゆっくりと話をしたい。

彼の国のために僕にできる事は何だろうなどと思いながら
手っ取り早く、Tシャツでも買ってみるかと思うでありました。