こうもりのルーファスくん

また、ウンゲラー作品。
奥付を見ると発行が2011年なので、最近の作品と思われます。
夜の世界にいたこうもりのルーファスくんが色彩の世界に振れ、
そして友達とで出会い、また自分の暮らす世界へと戻って行く。
先日紹介した月おとこと流れは同じです。

この本は色が素敵、前半の黒と水色の色使いは「すてきなさんにんぐみ」
を彷彿とさせる色使いだし、ルーファスくんが自分をカラフルに塗る所も
可愛らしい。

ウンゲラー作品を読んでいると、やはり社会へのまなざし(この作品の場合は
カラフルなこうもりを撃ち落としてしまう人間)と変わり者同士の友情が
印象的です。
ただ、語り口は翻訳によるのかもしれませんがすごく客観的で、そこが
すごく素敵だと個人的には思っています。
人間を批判するとかいうことでなく、「そういうもの」として捉えている。
この絵本でも、なぜ人間がカラフルなこうもりを撃ち落としてしまうのかは、
書かれていません。
気味が悪いからか、恐ろしいからか、それとも捕まえたいからか。それらは
どうでもいいことで、ただ、普通じゃないものを排除するということなのかもしれません。

さて、長男はこの絵本に対しては「NO」でありました。
彼曰く、鉄砲でルーファスくんが撃たれてしまうのが嫌なんだそうです。
ルーファスくんはそれで死んだりしないのに。

長男は、誰かが死んだり、傷ついたり、鉄砲で撃たれたり、食べちゃうぞと脅されたりするのが
本当に嫌なようです。仮面ライダーは好きなんですけどね。
人間が出てきて、傷つけたり傷つけられたりは何となく嫌なんだそうですよ。
恐竜は好きだけどジュラシックパークは人間が怖がったりするので嫌だそうです。

やさしいのか、臆病なのかは良くわかりませんが、
そう言う感覚は大切な気がしますから、尊重したいと思っている所です。

コウモリのルーファスくん

コウモリのルーファスくん